政府が、パリ協定に基づき来年改めて提出する温室効果ガスの削減目標を、現行と同じ「2030年度時点で13年度比26%減」に据え置く方針を固めた。

 協定参加国が提出済みの削減目標を合わせても、協定が目指す「産業革命以降の気温上昇を2度未満に抑制」を達成できないという。このため、各国は協定の運用が始まるのに合わせて、水準の引き上げを申し合わせていた。

 日本は二酸化炭素(CO2)排出量が世界で5番目に多い。気象災害の多発と地球温暖化との関連が指摘される中、目標据え置きは国際的な批判を免れまい。

 据え置きは、原発の再稼働が進んでおらず、エネルギー基本計画を見直せなかったことが背景にある。

 政府は、福島第1原発事故後に改定したエネルギー基本計画でも原発の比率を20~22%とし、主力電源との位置付けを変えていない。温室効果ガス26%減の達成には30基程度の原発が必要となるが、再稼働しているのは5原発9基にとどまっている。

 福島の事故を受け、先進国の多くは「脱原発」や依存度を落とす「縮原発」にかじを切り、太陽光や風水力などの自然エネルギーを推進している。政府は原発に依存し続けるエネルギー政策こそ、根本から見直すべきだ。

 「脱石炭」の取り組みも急がれる。

 石炭廃絶を打ち出す国が相次いでおり、フランスは来年、英国やイタリアは25年を目標としている。にもかかわらず、日本は先進7カ国の中で唯一、石炭火電の新設を進めている。

 2日からスペインで始まった国連気候変動枠組み条約の第25回締約国会議(COP25)では、日本などに対し、踏み込んだ排出削減の設定が必要との声が強まろう。

 世界気象機関(WMO)は、昨年の大気中CO2濃度が世界平均で観測史上最高を更新したと発表した。上昇率は過去10年の平均を超えており、改善が喫緊の課題となっている。

 政府は危機感に乏しいのではないか。自然エネルギーを軸とした脱炭素化へ本腰を入れるべきである。

 徳島県は一昨年、「脱炭素社会」を目指す条例を全国に先駆けて施行した。先月には、温室効果ガスの県内排出量を50年度までにゼロにする方針を、飯泉嘉門知事が明言している。

 国を上回る目標を掲げたのは評価できる。しかし、どう実現するのかという肝心な具体策は未定だ。

 阿南市には、石炭火力1基当たりの出力では国内最大の橘湾火力発電所がある。大規模な排出源を抱えながらゼロ化を実現するのは、そう容易なことではない。

 飯泉知事は自然エネルギー協議会の会長でもある。思い切った削減手法と工程表を早急に提示し、国を突き動かしてもらいたい。