「露出度の高い服を着ていると被害に遭う」「たいてい夜道で襲われる」―。性暴力に対するこうした偏向した考えは「レイプ神話」と呼ばれる。服装や行動が被害に結びつくと信じ込まれ、被害者の落ち度を責める風潮を後押ししている。

 「隙があるように見える服装や髪形をしていたのが悪いのではないか」。小松島市の20代の女性会社員は、セクハラ被害を相談した男友達から掛けられた言葉が忘れられない。

 女性は仕事の一環で宴席に出席。その場にいた男性に手を握られたり、膝の上に座られたりした。男性との関係悪化を恐れて声を上げられなかった。「悪いのは私? 男友達の言葉にさらに傷付けられた」と悔しそうに語った。

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 今年1月、ある制服メーカーが謝罪した。防犯啓発ポスターに「自分が『カワイイ』と思った短いスカートによって性犯罪を誘発してしまいます」との文言を入れ、批判を浴びたためだ。メーカーには女性側の自衛を促す狙いがあったようだ。しかし、女性が気を付けたとしても性暴力は防げない。

 昨年11月、強制わいせつ罪に問われた20代の男の公判が徳島地裁で開かれた。路上で50~80代の女性3人の体を触るなどの行為をした男は、相手を選んだ理由について「年を取っていると反撃されないし、逃げられないだろうと考えた」と打ち明けた。

 10代の女性2人を襲い、強制わいせつ致傷罪などに問われた別の男(26)は、今年10月に地裁であった公判で「誰にも言えないだろうと思い、若い女性を狙った」と話した。

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 科学警察研究所が性犯罪者553人を対象に実施した調査によると、「被害者の選定理由」で最も多かった回答は「おとなしそうで抵抗されないと思った」(37・4%)。次いで「警察に届け出ないと思った」が37・2%を占めた。「挑発的な服装をしていたため」は、わずか5・2%にとどまった。

 こうした実態があるにもかかわらず、レイプ神話は社会に根付いている。

 「痴漢とはなにか」などの著書がある龍谷大犯罪学研究センターの牧野雅子博士研究員は「被害者に原因を押し付けることで、加害者側の利益が守られている」と批判する。

 性犯罪者の再犯防止プログラムに関わり、被害者支援にも携わる「ユキメンタルサポート」(福岡県)の臨床心理士福田由紀子さんは「神話は、男性が優位に立つ現代社会のゆがみ。(社会全体が)性犯罪被害の実態を受け止め、認識を改めていくべきだ」と話した。

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