最近ではワクチンの普及によって麻疹を日常的に見ることは無くなりました。若い小児科医の中には麻疹を見たことがない人も居ると思われます。

 昔は麻疹が数年ごとに流行してほとんどの人が麻疹に罹りましたから、治った人は終生免疫を獲得していました。ワクチンの普及で麻疹に罹る人が減少した結果、社会全体の免疫が低下しています。

 社会全体の免疫を上昇させるためにはワクチンの接種率を上げる必要があります。また獲得した免疫を維持するには追加接種を行う必要があります。ワクチンを接種しても数%は免疫が出来ない場合があります。またワクチン接種後、日時の経過とともに免疫は低下するものです。1回目も2回目も接種率を95%以上に保つことで社会全体の免疫が保たれて麻疹を排除することが出来ます。

 麻疹ワクチンは1978年に定期接種が始まり、2006年から2回接種となりました。現在、日本固有の麻疹の発生はなくなって、2015年、麻疹は排除状態にあると認定されました。

 しかし2015年、日本で麻疹の発生は35人であったものが翌年から165人、186人、282人と増え続き、今年8月ですでに662人の発生を見ています。これらはすべて外国から、多くは東南アジア諸国からの輸入麻疹ですが、それだけ免疫の低下した人が居る訳です。

 現在、29歳から46歳の人は麻疹ワクチン1回接種の世代ですが、子どもを産み育てる世代であるとともに、社会の中心で活動をする世代です。子どもの予防接種とともに親自身の麻疹罹患の有無やワクチン接種歴を確認しておくことが大切です。