庭の菜園でサツマイモを掘っていた連れ合いが「カエルを起こしてしまった」と言う。土の下、ゆっくり冬眠と決め込んでいただろうに、気の毒なことだ。寝起きでもうろうとしていたらしい。ほとんど動かず、再び土をかぶせられ、春まで二度寝

 冬が本格化してきたばかり、季節が真逆で申し訳ないが、誰もが知るこの一句しか浮かばない。<痩蛙まけるな一茶是に有>小林一茶。庭のカエルも夢の中、取っ組み合っていたりして

 蛙は春の季語。ではあるが、これは種類によって異なる。殿様蛙なら春、雨蛙や蟾蜍は、どうしたことか夏だ。<大蟾は隠居気どりやうらの藪>同。そんなものか、と歳時記を繰るうちに、秋を跳び越え冬の部

 おやおや、これも季語かいな、「沢庵漬」。解説を読んで居住まいを正した。<冬になると農家では大根干しが始まる。十日ほど干されるとまったく姿を消してしまう。それは沢庵漬けにされるからである>『入門歳時記』角川書店

 1984年の古い版だからこうだが、別の本には、かつての風景として紹介されている。確かにそうした暮らしが、当たり前に存在していたのである

 沢庵といえば、スーパーの陳列棚というのも寂しい。根無し草のようで、どことなく頼りない日々の生活も、例えば漬物一つ漬けてみるだけで、少し変わる気がする。