ごみ排出ゼロ(ゼロ・ウェイスト)を目指す上勝町は、34分別した資源ごみを住民が持ち込む日比ケ谷ごみステーション(同町福原)に代わる新施設に、事業や研究のために訪れる企業や大学関係者ら向けのシェアオフィスや視察者向けの宿泊体験施設を整備する。理念を全国に発信する拠点としての機能を強化した、全国的にも例のない施設。現在は年間約2500人の視察者数を、約4500人に増やすことを目標とする。2019年3月ごろの完成を予定している。
新施設「ゼロ・ウェイストセンター」(仮称)は、現在のステーションと森林組合の木材置き場の跡地に建設する。U字型の木造平屋で約984平方メートル。
シェアオフィスは、ゼロ・ウェイストに共感する企業や大学、個人の利用を想定し、事業や研究のために活用してもらう。各地の行政関係者らが多い視察者の拠点となる宿泊体験施設には4部屋ほどを設け、一度に16人ほどが有料で宿泊できるようにする。
廃材を使った雑貨作りなどが体験できる加工場や、住民が交流できる多目的ホールなども設け、楽しみながらごみ問題を考えてもらえる施設を目指す。
住民がごみを持ち込む分別スペースは、住民と視察者の通路を分け、プライバシーに配慮する。住民の利便性を高めるため、近くまで車で乗り付けられる構造も取り入れる。
建築資材として、家庭で不要になった建具や瓦、家具などを町民から募り、内外装に利用する。窓ガラスには、葉っぱビジネス「彩(いろどり)」の葉や花を埋め込む。総事業費は約3億円の見込みで、過疎対策事業債を活用する。センターの運営団体は未定。
10月以降、ステーションの解体を始め、工事中は第三セクター「もくさん」の敷地内に仮設の分別場所を設ける。
現在のステーションはプレハブ2階建て延べ約500平方メートルで、設置から20年以上になり、老朽化していた。住民と視察者が狭い分別スペースで一緒になるため、住民から「ごみを捨てているところを間近で見られるのが恥ずかしい」といった声も出ていた。