徳島県内のとび職の男(26)は、駅前に車を止めて毎日のように女性を「物色」していた。1人で歩く女性を見つけると後をつけ、自宅に入るのを確認。後日、同じ女性を見掛けると人けのない路上で待ち伏せし、わいせつ行為に及んだ。遺留物を残さないよう軍手を着けていた。

 「専ら、自らの性的欲求を満たす目的で犯行を重ねた」。徳島地裁は10月、男に実刑判決を言い渡した。

 性犯罪の動機は司法によって一様に性欲と認定され、衝動的に起きるという認識が広く浸透している。

 一方で、科学警察研究所が性犯罪者553人を対象に行った調査では52・5%に計画性があり、強姦(強制性交)に限ると65・1%だった。犯行場所を選んだ理由(複数回答)については「人通りが少ない」(50・5%)、「人目につきにくい」(44%)の順に多かった。

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 司法判断からみると、加害者は性欲に動かされている。しかし科学警察研究所の調査などによると、加害者の多くが冷静で計画的に場所や被害者を選んでいると分かる。性欲だけでは説明できない加害行為の本質には何があるのか。

 女児や女子中学生にわいせつ行為を繰り返し、2018年3月に実刑判決を受けた30代の元塾講師の男は「触る行為そのものよりも、嫌がっている様子を見て興奮した」と法廷で証言した。

 性犯罪や子どもの安全対策に詳しい仙頭真希子弁護士=香川県弁護士会=は「加害者は性という暴力を使って相手より優位に立ち、ねじ伏せたいという欲求を持っている。根底にあるのは支配欲だ」と指摘する。

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 法務省の性犯罪者再犯防止プログラムに携わった臨床心理士の福田由紀子さんは、加害者の特徴として▽自尊感情が低い▽女性を見下す傾向が強い―などを挙げる。自信がないため、弱い立場とみなしている女性に暴力の矛先を向ける。幼少期などに性被害を受け、傷付けられた「男性性」を取り戻そうと性暴力に走る加害者も一定数いるという。

 福田さんは「欲望を満たすために女性を利用していいと思っているのが問題だ。男尊女卑の思想がゆがんだ認識を支えており、性差別の根強い社会そのものを変えていく必要がある」と話した。

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