弁護士になって20年、地域に根差した活動を心掛けてきた。それでも、講演会などの場で「何を相談していいのか分からない」と言われることがある。「市民にとって、弁護士はまだまだ身近な存在になっていない」。そんな思いが強く、「自治体や中小企業などと連携を密にし、生活に不安を感じている人たちの支えになりたい」と抱負を語る。
徳島市立高校から神戸大法学部に進学。当初は法曹を志すつもりはなかったが、司法試験の勉強に打ち込む友人らに囲まれ、刺激を受けた。
大学4年だった1995年1月17日、阪神大震災が発生し、神戸市灘区のマンションで被災した。自室に大きな被害はなかったが、隣家が倒壊したため、がれきに埋もれた女性の救出に当たった。
一変した街並みを見て「生き残ってしまった、という罪悪感に似た感情が湧いた」。社会に貢献する活動がしたいとの思いを募らせ、弁護士志望がより一層高まった。
徳島の防災力強化にも尽力しようと、2014年には防災士の資格を取得。自治体などの依頼を受け、被災後に抱える法律問題をテーマにした講演を行っている。美波町では、被災後の復興の道筋を考えておく「事前復興」の計画作りに関わった。
認知症患者など判断能力が不十分な人の財産管理や公的手続きを行う成年後見業務にも積極的に携わる。記憶がおぼつかない60代男性を定期的に訪ねていると「先生、ありがとう」と感謝されたことがあり「たわいない会話しかしていなかったが、それが男性の刺激になっていたことがうれしかった」とやりがいを感じている。
クラシックやジャズなど幅広いジャンルの音楽を好む。歴史好きが高じ、出向いた地域の郷土誌集めも趣味の一つになっている。徳島市出身。45歳。