徳島で幼少年期を過ごした社会活動家、賀川豊彦(1888~1960年)の妻ハルの没後35年を記念した特別展「賀川ハル展」が5日から、神戸市中央区の賀川記念館で開かれる。初日はハルの命日に当たり、賀川夫妻の孫を招いた対談や研究発表などがある。31日まで。
直筆原稿や写真など貴重な資料約100点を展示。若き日に神戸市で救貧活動を始めて以降、“同志”として賀川を支え続けたハルの生涯を顕彰する。
戦前、中国でキリスト教の布教活動中の賀川に宛てて近況を報告する手紙、金銭に無頓着だった賀川に代わって活動資金をやりくりした際の家計簿、「賀川春子」の筆名で出版した小説「太陽地に落ちず」なども並ぶ。
初日午前10時からは同館の語り部らがハルの生涯、業績を振り返る研究発表を行う。午後1時からは、ハルの孫で7年間一緒に暮らした冨澤康子さん=東京女子医科大助教=と、賀川豊彦を研究する岩田三枝子・東京基督教大准教授が「賀川ハルさんってどんな人?」のテーマで対談。3人の子どもを育てながら、社会活動家としても活躍したハルの姿を浮き彫りにする。
賀川記念館の西義人参事(74)は「ハルがいなければ、賀川の活躍はなかったといっても過言ではない。ハルのすごさや人となりを感じてもらいたい」と話す。賀川豊彦や夫妻に関心のある徳島県民にとっても、興味深い展覧会となりそうだ。
賀川記念館は、賀川豊彦が1909年から23年まで救貧活動に取り組んだ神戸・生田川近くに建つミュージアム。現在の建物は賀川の救貧活動開始100周年を記念し、2009年に整備された。
入館料300円(中高大学生100円)で初日の催しは先着100人が無料。問い合わせは同館<電078(221)3627>。