佐々木裕司さん

 優しい口調ながらも毅然とした態度で反則した選手に注意を促す。「選手の立場を尊重しつつ、簡潔な言葉で分かりやすく伝えるように意識している」。左胸に桜のエンブレムが刻まれたジャージーをまとい、激しい肉弾戦を冷静に裁く。

 徳島工業高(現徳島科技高)でラグビーを始めた。ポジションは司令塔のスタンドオフやトライゲッターのウイング。3年時の全国大会(花園)県予選は初戦で敗れた。レフェリーに興味を抱いたのは大分県の日本文理大を卒業後。「レフェリーなら憧れの花園に立てるチャンスがある」と23歳でC級資格を取得した。

 2011年度に31歳で教員に。母校の徳島科技高で工業を教える傍ら、県内外の高校や大学の試合で笛を吹き、経験を積んだ。18年度に日本協会公認のA2級になり、本年度、最上位クラスのA1級に上がった。

 より良いレフェリングを目指し、試合前には動画で両チームの特徴を確認。試合後は自身の判定を振り返る。1試合平均7、8キロを走るため体力も必要で、週2回のジョギングを欠かさない。「けがはできない」と体のケアにも気を使う。

 週末は忙しく家族との時間も少ないが、楽しみの一つは鳴門ラグビースクールで楕円球を追う小学5年の長男拓人君の成長だ。「将来、息子の試合は担当できなくても、レフェリーと選手として同じ年に親子で花園に立つことができればうれしい」と目を細めた。

 石井町高川原で家族4人暮らし。40歳。