動画を視聴する男性。インターネットの普及で、AVコンテンツはより身近になっている(記事と写真は関係ありません)

 大手通信会社が運営するアダルトビデオ(AV)サイトの商品検索画面。「シチュエーション」の項目に「強姦」「盗撮・のぞき」「痴漢」などが並ぶ。犯罪行為が性行為のバリエーションのように扱われ、18歳以上かどうかを問う項目の「はい」をクリックするだけで閲覧できる。

 盗撮を常習的に繰り返し、徳島県迷惑行為防止条例違反で3月に有罪判決を受けた男性(32)は、徳島地裁で行われた公判で「ネットの動画を見て興味を持った」と盗撮を始めたきっかけを語った。わざと持ち物を落とし、女性に拾ってもらう時に撮影する手口をまねたという。女性に性器を露出した男性(21)も昨年11月の公判で「AVで見て、やってみたいと思った」と証言した。

■  ■  ■

 法務省が行う性犯罪受刑者の再犯防止プログラムで講師を務めた臨床心理士福田由紀子さんは「AVは性犯罪者の教科書」と指摘する。「AVを見ているうちに、自分でもできると思った」と話す受刑者が非常に多いという。科学警察研究所が性犯罪者553人に実施した調査では、犯行のきっかけについて「AVと同じことをしてみたかった」という人が33・5%を占めた。少年に限ると49・2%に跳ね上がる。

 福田さんは「『抵抗しても最後は気持ち良くなるからいいだろう』など、AVが原因のゆがんだ考えを口にする人も多い」。

 もちろん、犯罪まがいのAVの視聴者全てが性犯罪に走るわけではない。ただ、日本では性教育が十分行われていないため、知識の乏しい若い世代への影響が懸念されている。

 日本性教育協会が発行する「若者の性白書」によると、男子大学生の51・1%、男子高校生の34・3%が「セックスの知識をAVから得ている」と答えた。「ポルノ雑誌」とした人も、男子大学生で11・2%、男子高校生で6・4%いた。

■  ■  ■ 

 AVをよく見るという徳島文理大の20代の男子学生は「性行為について授業では習わなかった。雑誌に付いた『袋閉じ』を見て、どうするのかを知った」と明かす。AVはフィクションと割り切って楽しんでいる。しかし、「レイプもの」が好きな友人がネット動画に影響され、交際相手に乱暴な行為をしていると聞いたことがあるという。

 「AV神話―アダルトビデオをまねてはいけない」などの著書がある帯広畜産大の杉田聡名誉教授は「AVはセクシャリティーに対して誤解を招きかねない恐るべきメディア。性欲喚起のみの目的で作られていると、教育課程でしっかりと教えるべきだ」と話した。

 連載へのご意見やご感想、体験談を〒770―8572(住所不要)徳島新聞社会部までお寄せください。ファクスは<088(654)0165>、メールはsyakai-bu@topics.or.jp