アシの穂が夕日に照らされ、風に揺れる吉野川のアシ原=徳島市応神町

 この時期、夕方の帰宅を楽しみにしている。吉野川北岸の堤防道路からアシ原が見えるためだ。河川敷を覆い尽くす真っ白な穂が冷たい風に揺れ、夕日で黄金色に染まっている。

 特に徳島市応神町のJR高徳線・吉野川橋梁下流に広がるアシ原は見事。今日は夕焼けになるかなと思えば、車をUターンさせて近くまで行く。ススキの穂よりも大きな穂が、吹き抜ける風でサワサワと音を立てるのも耳に心地よい。

 アシ原と書いたものの、現在の正式名称はヨシ。アシは古名で「悪し」につながるとして、ヨシと呼ばれるようになったらしい。漢字表記の「葦」は、どちらで読んでも構わないとのこと。イネ科の多年性植物で河川や湖沼の水辺を好み、大群落をつくる植物である。

 日本は古事記や日本書紀で「豊葦原瑞穂国」とも称されている。アシの茂る豊かな国を指し、古くから人々と密接に関わってきた植物だと分かる。

 干潟などで広く根を張り、土をためるためアシ原は多くの生物のすみかになっており、水の浄化も担っている。2メートルにも達する茎は、すだれや屋根ぶきなどさまざまな用途に使われてきた。

 生活とのつながりに思いをはせながら撮影した。