薬王寺の門前町・桜町商店街に複合型施設「at Teramae」をオープンさせる(左から)磯中さん、堂園さん、山﨑さん=美波町奥河内の同施設

 美波町を拠点に活動するクリエイターの若者3人が1日、四国霊場23番札所・薬王寺の門前町・桜町商店街(同町奥河内寺前)に複合型施設「at Teramae(アットテラマエ)」をオープンさせる。築96年の元遍路宿を改修してコーヒースタンドやアパレルショップ、オフィスを設け、地元住民や観光客などさまざまな人の交流につなげる。

 3人は▽美波町にサテライトオフィス開設後、本社も移したウェブデザイン会社「まめぞうデザイン」社長の堂園聖也さん(31)=奥河内、台湾出身▽同町出身でアパレル製品の制作も手掛けるカメラマンの山﨑一平さん(29)=奥河内▽世界を放浪した後、町に移住し日和佐八幡神社秋祭りをテーマにした抽象画などを創作している磯中太志さん(31)=日和佐浦、山口県出身。

 3人は、かつて遍路宿だった木造2階建ての建物(延べ約100平方メートル)を所有者から無償で譲り受けた。1階が店舗スペースで、磯中さんがコーヒースタンド(5席)と貸しギャラリーを運営し、山﨑さんがアパレルショップを営業する。2階はまめぞうデザインのオフィスになる。

 コーヒースタンドでは23番札所の薬王寺にちなみ、毎月23日にお遍路さんに無料でコーヒーを提供する。アパレルショップでは日和佐の頭文字から名付けたオリジナルブランド「HWSclothing」の服や小物を売る。新しい土産として定着させたい考え。

 3人は友人同士。職業や趣味、年齢など背景が異なるさまざまな人が交流し、新たなアイデアを形にできる場所をつくりたいと考えた。クラウドファンディングで改修費も募った。

 31日には開店を記念したセレモニーがあり、地元住民ら約50人が完成を祝った。3人は「アットテラマエには『この場所に人が集まるように』という思いを込めた。新しい何かが生まれる空間にしていきたい」と話している。