空席に置かれたままになっている席取り用の札。改善を求める声が上がる=松茂町総合体育館(画像の一部を加工しています)

 剣道の徳島県大会の観覧席に席取り用の札が置かれていて、自由に座れない―。息子の試合観戦で会場を訪れた男性から、徳島新聞「あなととともに~こちら特報班」にこんな投稿が寄せられた。取材を進めると、選手の保護者らがチームの規模に応じた座席数を確保し、利用しない時間帯も占有している実態が長年の慣習となっていた。「礼節を重んじる剣道の精神からかけ離れた行為ではないか」と男性は疑問視する。

 11月3日に阿南市スポーツ総合センターで開かれた県大会には、小学生~社会人の剣士約800人が参加。観覧席(264席)には保護者らが座り、空席にはチームごとに用意した席取り用の札や荷物が置かれていた。空席を譲るよう促す場内アナウンスが流されたものの、改善されなかったという。

 翌4日に鳴門市の鳴門ソイジョイ武道館(500席)であった県中学新人大会では、事前に参加校に席が割り振られていた。にもかかわらず、自由席(約200席)に席取り用の札を置く学校があったという。

 10日に県少年大会の会場となった松茂町総合体育館を記者が訪れた。2階観覧席(386席)には、参加27チームのうち数チームが複数枚の札を置き、10~30人分の座席を確保していた。その中には1時間近く誰も座らない席があった。

 ある保護者に聞くと、小学生の県大会では開場前から並んで席を確保するのが慣例となっている。各チームで席の争奪戦になり、取れない場合は通路や試合場の一角で、子どもの出番を待つこともあるという。

 別の保護者は、席を確保する理由について「防具などの荷物が多い。広い会場で保護者の居場所を決めておけば、低学年の選手も安心して試合に臨める」と説明した。

 阿南で開かれた大会を運営した県剣道連盟阿南支部は「参加選手数に対して席数が十分でなく、早い者勝ちの状態だった」。危険防止のため、午前8時半の開場前に並んでいた保護者が一度に大勢入らないよう規制したという。

 連盟によると、主催大会の観覧席の利用方法については取り決めがない。

 投稿者の男性が指摘するように、席取り問題は解決されるのか。連盟の藤川和秋理事長は「空席に自由に座れないのは常識に反する。保護者ら応援側のマナー向上に理解を求め、ファンが平等に観戦できる仕組みを考えたい」と話した。