「水都とくしま」は、徳島市が掲げるまちづくりのキャッチコピーである。吉野川をはじめ大小138もの河川が、域内を流れているのがゆえんだ

 「日本のベニスです」という案内を聞いたのは、市中心部を流れる新町川の遊覧船上だったか。どうしてどうして、大仰ではない。水際公園は癒やしの景観で、とくしまマルシェなどのイベントも盛りだくさん。大阪市や広島市といった「水の都」を名乗る都市に見劣りしない

 そんな水の都の本家が災難である。ベニスことイタリアのベネチアは先月、高潮によって海面が2メートル近く上昇、市内の8割が浸水して死者も出た。非常事態を発令した政府は「地球温暖化の影響だ」と警告している

 気象災害の多発は地球規模の問題だ。スペインで開かれている国連気候変動枠組み条約の第25回締約国会議(COP25)では、温室効果ガスの削減水準引き上げを焦点に議論が繰り広げられている。キーワードは「脱石炭」

 脱石炭では、徳島県が温室効果ガスの県内排出量を2050年時点でゼロにすると宣言した。国際的に批判の強い石炭火電の、国内最大級が立地する県がどんな削減策を打ち出すか、関心はいや応なく高まる

 内水害への警戒も強めなければ。ベネチアの非常事態は対岸の火事ではない。138の流れは、早晩暴れるかもしれない。