秘境駅として知られる三好市池田町西山のJR土讃線・坪尻駅を見下ろせる展望台が、近くの山の斜面付近にできた。昨秋、鉄道ファンが駅を撮影中に山肌から滑落したため、地元住民からの要望を受けて市が整備した。行楽シーズンを迎え、地域住民は安全な撮影スポットの誕生を歓迎している。
坪尻駅から南西約400メートルにある農道脇に100万円をかけて設けた。コンクリートで6平方メートルのスペースを作り、転落防止の柵も取り付けた。
市によると昨年11月、山肌から駅を撮影しようとしていた男性が足を踏み外して落ちる事故があった。男性は約5メートル下で止まったが、そのまま転がり落ちていれば命に関わる事故になる恐れもあった。展望台設置で、安全に撮影できるようになった。
坪尻駅は、徒歩でしか訪れることができないことに加えて、列車が急勾配を行き交うための折り返し用線路「スイッチバック」があり、鉄道ファンの人気が高い。4月からは、週末を中心に大歩危―多度津間を走るJR四国の観光列車「四国まんなか千年ものがたり」が停車し、さらに注目を集める。
近くの男性(82)は「全国から大勢の人が駅を見に来る。安全に撮影を楽しめる場所ができて良かった」と喜んでいた。