「いい芝居をして恩返ししたい」と語る西岡さん=東京都渋谷区の新国立劇場

 つるぎ町出身の女優西岡未央さん(31)が、10日から始まる東京・新国立劇場の演劇公演「マリアの首-幻に長崎を想う曲-」に出演する。同劇場の演劇研修所を2015年春に修了した後、劇場主催の公演に初参加する西岡さんは「学ばせてもらった恩返しは、いいお芝居をすること。自然で押しつけがましくなく、味わい深い演技をしたい」と稽古に励んでいる。

 「マリアの首」は、終戦後の長崎を舞台に3人の女性の生きざまを描いた田中千禾夫(ちかお)(1905~95年)の戯曲。西岡さんは、昼は看護婦、夜は娼婦として街角に立つケロイドの顔を持つ鹿(鈴木杏)ら3人の主役を脇で支える娼婦役の一人として出演する。

 劇には、原爆、浦上天主堂、マリア像、信仰、自由…といったキーワードが散りばめられており、「単なる反戦劇や宗教劇を超えて、地に足をつけ、血の通った生活をしている女性の視点を見る芝居」と西岡さんは語る。長崎弁のせりふも苦にせず「方言の持つ音のリズムが楽しくて好き」と意欲を見せる。

 つるぎ町半田で生まれ育った。脇町高校を卒業した後、着物職人を目指して進んだ京都精華大の演劇サークルで芝居の魅力に目覚めた。3年時に劇団「悪い芝居」に入団、卒業後も京都で芝居を続けた。ただ所属する劇団以外の仕事は少なく、演劇を続けるか自問自答するようになっていた。

 そんな中、2012年にラストチャンスと思って新国立劇場演劇研修所を受験し、約11倍の難関を突破する。3年間、一流の講師陣から指導を受け、技量を磨いた。「ジャンルの垣根を越えて指導してくれた。幸運な日々だった」と振り返る。研修所修了後は、都内の俳優マネジメント事務所に所属している。

 「マリアの首」のプロデューサー茂木令子氏は、西岡さんについて「エネルギーにあふれ、自分をプレゼンする力にたけている」と評価。「(今回の芝居では)何もなくなった長崎で力強く生きる女性の姿を生き生きと演じてほしい」と期待する。

 徳島には年に1度帰省する。「自然豊かな古里の風土が内面をはぐくんでくれた。芝居をする際の表現手段など、全てのルーツは徳島にある」と語り、「いつか徳島出身の俳優やスタッフと共演したい」と大きな目を輝かせた。

 公演は5月28日(休演日含む)まで新国立劇場小劇場。20日、25日、27日は昼夜2回公演。6月には全国公演もあり、3、4日は兵庫県立芸術文化センター阪急中ホール、10日は愛知県豊橋市の穂の国とよはし劇術劇場PLAT主ホール。問い合わせは新国立劇場ボックスオフィス<電03(5352)9999>。