徳島自動車道で、また痛ましい事故が起きた。

 三好市池田町シンヤマの「新山トンネル」で、男性6人が乗ったワゴン車と大型トラックが正面衝突。ワゴン車の2人が死亡し、1人が意識不明の重体となった。同乗の3人とトラックの男性運転手も重軽傷を負った。

 ワゴン車の6人は、高知県香美市の電気工事会社の関係者で、徳島県内で太陽光パネルを設置した帰りだった。26歳、35歳という若さで人生を終えた2人の無念を思うと、やりきれない。

 現場は全長890メートルのトンネルのほぼ真ん中で、中央分離帯のない片側1車線の対面通行区間。ワゴン車が中央線をはみ出して衝突した可能性がある。

 衝突のすさまじさは、事故後の状況が物語っている。ワゴン車は運転席と助手席がつぶれ、後部のドアが外れて飛び出した工具類が道路一面に散乱。センターポールはなぎ倒され、道路脇の鉄柵は折れ曲がっていた。

 対面通行区間は、コンクリートブロックなどで隔てられた4車線以上の区間と比べ、死亡事故の発生率が2倍も高い。樹脂製のポールの向こう側から車が飛び込んできたらよけようがない。スピードも出ており、今回のような大事故につながる可能性が大きい。それだけに、普段以上に安全運転を心掛けなくてはならない。

 徳島道では、今年3月にも対面通行区間で対向車線にはみ出した軽トラックと別のトラックが正面衝突し、1人が死亡している。

 県警によると、2009年以降に徳島道で起きた死亡事故11件は、いずれも対面通行区間で発生している。亡くなった13人のうち9人が正面衝突事故だった。

 安全性向上に4車線化が求められるのは言うまでもない。だが、徳島道は通行量が少なく、費用対効果が低いため後回しにされてきた。鳴門ジャンクション(JCT)―川之江東JCT間の全長106キロのうち、4車線になっているのは上り線が15%、下り線は17%にとどまっている。

 他の四国の高速道と比べても遅れが際立っている。高松道は3月に全線が4車線化された。松山道は有料区間の60%、高知道は71%が4車線になっている。

 国は9月、徳島道の藍住インターチェンジ(IC)―川之江東JCT間を含む全国880キロを4車線化する方針を決めた。ただ、10~15年かかる見通しで、具体的なスケジュールも決まっていない。

 現状の事故防止対策も十分とは言えない。数年前から一部の高速道で、中央部にワイヤロープ方式の防護柵を設け、対向車線への飛び出し事故が激減する効果を発揮しているが、徳島道ではまだ設置されていない。

 悲惨な事故が再び起きないように、4車線化を急ぐのはもちろんだが、当面の安全対策も加速させるべきである。