広く長い参道が山上の境内へと続く箸蔵寺=三好市池田町州津

 箸蔵寺は阿讃山脈の箸蔵山(標高719メートル)の南尾根の山腹に建てられた寺である。ふもとからロープウエーが通り、手軽に訪ねることのできる古刹だ。しかし、今回は中腹にある仁王門から歩いて訪ねた。

 階段を上り、大きなわらじが奉納された仁王門をくぐり抜けると、砂利が敷き詰められた広い参道に出る。なぜ山の中にこれほどの参道を設けたのかと思いつつ歩みを進めると、今度は大きな鳥居が見える。お寺なのにと不思議さが増す。

 参道が広いのは、戦前にあったケーブルカーの名残だろう。寄進者が刻まれた石柱に、徳島県の鉄道史で見掛ける名前があった。ケーブルカーは1930年に開業し、戦争激化で44年に廃止されたものの、多くの人々が参拝に利用したと記録に残っている。

 鳥居は、箸蔵寺が神仏習合の色合いを強く残していることを示している。神と仏は同じとみなす考え方で、明治期の政策で神仏分離がなされるまで、日本では普通の宗教スタイルであった。

 広い参道を歩き、階段を上ると護摩殿の前に出る。見事な柱の彫刻に目を奪われる。参道はさらに奥へと続いており、長い階段を上れば御本殿だ。神仏習合の不思議な空間と深山の古寺の雰囲気を堪能した。