チーム、県民の悲願であったJ1復帰はならなかった。サッカーJ2の徳島ヴォルティスはJ1参入プレーオフ(PO)最終戦でJ1の湘南と引き分け。昇格まであと1勝に迫っていただけに無念でならない。

 それでも6年ぶりにPO進出を果たし、最終戦まで勝ち上がった今季の戦いぶりは見事だった。決戦を前に「勝たなければ意味がない」と自らを奮い立たせた選手もいたが、徳島を盛り上げ、ファンを勇気づけた選手、チームの奮闘をたたえたい。

 今季は選手の半数以上が昨季から入れ替わり、チームづくりは一からのスタートとなった。序盤は連係がうまく機能せず黒星が先行。一時は22チーム中17位まで順位を落とし降格圏入りが危ぶまれた。

 そんなチームが試合を重ねるごとに結束力を強め、進化していく。

 後半戦で8月の28節から12戦を9勝3分けと負けなしの快進撃を見せ、J1昇格を果たした2013年のクラブ記録に並んだ。6得点、7得点という試合もあり、決定力不足という課題を克服した。

 ロドリゲス監督が掲げるのは攻撃的なサッカーだ。ボールを奪うとパスをつないで保持。中盤から前線の選手が複雑に動き、相手の守備が乱れた一瞬の隙を突いて得点を狙う。守りを固めて臨むプランもあり、戦い方は多様だ。実践するには戦術の理解と選手同士の連係が重要になる。

 今季は他チームへの移籍者がなく、シーズンを通して同じメンバーで戦えたことが大きい。徳島のサッカーに憧れて入団した若手が次々と成長し、ベテランとの息も合うようになった。

 得点者もバラエティーに富む。最多はFW河田篤秀選手の13点。ほかにMF野村直輝、DFヨルディ・バイスら8選手が4点以上を挙げた。

 飛び抜けた選手はいないものの、どこからでも得点し、全員で守ることができる。それが今季の徳島の強さだろう。試合に出ていない選手はしっかり準備し、出ている選手は全員の思いを胸に戦う。岩尾憲主将がよく発した「ワンチーム」という合言葉が、チームの推進力となった。

 選手の奮闘にファンも呼応した。リーグ戦ホーム21試合の年間入場者数は12万460人に上り、J1にいた14年を除いて最多を記録。終盤の横浜C戦では当日券売り場に長い列ができ、11年以来8年ぶりに1万人を超えた。

 得点すると、選手が両腕で「L」のポーズを取り、ファンは「V」で応える「ラブ・ヴォルティス」のパフォーマンスがシーズン途中から定着。選手とスタンドの一体感は強く、躍進の原動力になったのは間違いない。

 クラブ発足から15年。地域のプロサッカーチームとして着実にコアなファンを増やしてきた。J1復帰は持ち越されたが、多くの県民を魅了したシーズンとしてクラブ史に刻まれるだろう。