北井上西部土地改良区(徳島市国府町西黒田)のポンプ場修繕工事を巡る贈収賄事件で、土地改良法違反(収賄)容疑で再逮捕された改良区前理事長鎌田穗積容疑者(72)=同市国府町西黒田、業務上横領罪で起訴=が、建設会社「永建」(同市)に工事を発注する際、相見積もりを取ったとする書類を作成していたことが8日、県警などへの取材で分かった。県警は、県の監査の目をかいくぐるため、正式な手続きを取ったかのように見せ掛けたとみて調べている。

 ポンプ場修繕工事を発注した改良区の関連団体・北井上西部環境保全協会の内規では、250万円以上の工事を発注する場合は相見積もりを取るよう定めている。県警が押収した資料の中に、2015年2月に修繕工事を発注する際、内規にのっとり、永建と他の2業者の見積もりを取ったかのような書類があった。

 修繕工事は約1100万円で永建が受注した。県警は、工事発注の一切を取り仕切っていた鎌田容疑者が同社への発注を決めていたにもかかわらず、書面上は相見積もりを取って公正に選考したように装っていたとみて裏付けを進める。

 永建は、専務の大田清一容疑者(46)=同市国府町日開、土地改良法違反(贈賄)容疑で逮捕=と鎌田容疑者が知り合った10年夏ごろから、年5、6件程度あった改良区の工事の大半を受注していた。

 県警は7日、鎌田、大田両容疑者と永建社長の山田宏一容疑者(57)=同市国府町芝原、同法違反(贈賄)容疑で逮捕=を徳島地検に送検した。送検容疑は、鎌田容疑者はポンプ場修繕工事で便宜を図ったことに対する謝礼や、今後も同様の取り計らいを受けたいという趣旨と知りながら、山田容疑者の指示を受けた大田容疑者から現金200万円を受け取り、同時に無利子・無担保で130万円を借り受けたとしている。山田、大田両容疑者は共謀し、賄賂を贈ったとしている。