特別初診料の徴収を知らせる看板=徳島市の県立中央病院

 徳島県立中央病院は11月から、救急搬送患者が軽症だった場合、診察料とは別に選定療養費(特別初診料、5500円)の徴収を始めた。これについて徳島新聞「あなたとともに~こちら特報班」に「貧困家庭の実態が分かっていない」との声が寄せられた。救急車の安易な利用が抑えられる半面、経済的な理由から呼ぶのを控え、重大な結果を招きかねないとの懸念だ。

 なぜ特別初診料を徴収するのか。県病院局は「救急病院の機能分担の徹底と、救急車の適正利用」を理由に挙げ、「命に関わる患者の治療を優先するためだ」と説明する。

 2018年度の中央病院への救急搬送は4738件。このうち軽症は1667件(35%)で、夜間など日勤時間外の搬送が8割以上を占めた。年齢別では0~9歳が490件(29%)、70歳以上も448件(27%)と他の年齢層より高い。

 県病院局は「医師が軽症患者の処置に追われると、脳卒中の患者ら緊急を要する診療に支障を来す」と理解を求める。

 これに対し、県老人クラブ連合会の細井啓造会長(80)は「救急車をタクシー代わりに利用する人の抑制にはなる。ただ、貧困家庭に対しては冷たい対応だ」と懸念を示す。

 県によると、救急車を利用しなくても、かかりつけ医などの紹介状を持たずに中央病院に来院した患者からは別料金を徴収しており、負担の不平等は解消されるという。その上で、まずはかかりつけ医の判断を仰ぐように求める。

 記者が「夜間や休日は開業医に電話が通じないとの声がある」と質問すると、▽休日在宅当番医や2次救急病院での受診▽看護師や医師が日曜祝日・年末年始は24時間体制で、月~土曜は午前6時から翌日午前8時まで相談に応じる「徳島救急医療電話相談」(♯7119)、「徳島こども医療電話相談」(♯8000)の利用―を勧められた。

 徳島大大学院医歯薬学研究部の白山靖彦教授(地域医療福祉学)は「命を守る医療という前提からすれば、特別初診料の徴収は仕方がない。とはいえ、患者は自分の命を守る義務があり、救急車の利用を控えるという選択はしないでほしい」と呼び掛けている。