国指定重要文化財「三河家住宅」(徳島市富田浜4)の主要部分である1、2階が、建設から90年ほどたった今も十分な耐震性を保っていることが、市教委の調査で分かった。多くの木造住宅が倒壊した1923年の関東大震災を教訓に、揺れに強い構造で造られていた。市教委は一般公開に向けた改修工事を行う予定だが、耐震化に関する費用が大幅に抑えられる可能性も出てきた。
三河家住宅は鉄筋コンクリート造り地上3階地下1階、延べ約470平方メートル。市教委は一般公開に向けて2012年度から建物の調査を進めており、15、16の両年度に耐震診断を行った。
その結果、1、2階は、震度6強から7程度の揺れに対し、倒壊の危険性が低いとされた。3階は耐震性が不足していた。
市教委によると、三河家住宅は「壁式構造」といわれる工法が用いられている。柱や梁(はり)の代わりに壁で建物の重さを支える技術で、揺れに強いとされる。
1、2階では床面積の割に部屋数が多く、この点も建物の強度を高めている。1階(175平方メートル)にはトイレなどを含めて11部屋、2階(165平方メートル)には9部屋あり、間仕切りとなる壁が多い。壁のほとんどが鉄筋コンクリート製で、厚みが20~30センチある。
一方、3階では部屋の間仕切りが木造やレンガ造りで、耐震基準を満たさなかった。
市教委社会教育課は「現在でも高い耐震性を有していることに驚かされた。その建築技術を含む文化的価値を広く伝えるためにも、早期に一般公開できるよう復元に取り組みたい」としている。
市教委は17、18両年度で改修工事の基本設計を行い、19年度に着工する予定。工事には少なくとも3年はかかるとみられ、一般公開は22年度以降になる見込み。