標高1133メートルの高越山=徳島県吉野川市山川町

 

 「どうして山に登るの?」「そこに山があるから」。よく聞く言葉です。職場にも山好きの先輩がいまして・・・。なんやかんやありがたいうんちくを頂いたことがあります。

 私自身全く興味のない世界です。が、登山は心肺機能や下半身の強化につながると言われています。最近気の緩みを自覚しつつあるので、少し体に刺激を与えようと思いつき、登ってきました。「おこおっつぁん」へ。どこの山かピンと来る人は、徳島県出身者でしょうか。

 正式な山の名前は高越山(標高1133メートル)です。徳島県吉野川市山川町にそびえ、30代以上なら多くの県民が子どもの頃に宿泊訓練で訪れたことがあるはずです。かつて中腹に県立少年自然の家があり、山に向かって毎日、「おこおっつぁ~ん!」と叫ぶのが定番。いつまでも耳に残るフレーズです。

 午前9時10分、麓にある「ふいご温泉」近くの登山道から出発です。私も市民ランナーの端くれ。舗装されていない山や森を駆け抜ける「トレイルランニング」に興味があり、駆け出しました。
 

序盤はなだらかな上り道が多い

 山頂までのルートは、ほぼ登り坂です。「無理したらけがをするかも?」「いや、途中でやめたら恥ずかしくて『あわラン』に書けんようになるなあ」「いやいや、『あわラン』に書くために走っているのではない」。頭の中で問答を繰り返します。これは言い訳でなく、冷静な自己分析ということに。今風に言うなら「秒」で断念です。

 自分の脚力を考えると、結果的には英断でした。2・5キロ付近の中腹(中ノ郷)までは割とピクニック気分だったのですが、それ以降は道のりが険しく「修験道」との言葉を実感します。
 

中腹を過ぎると、険しさが増す。修験道を実感

 山林に囲まれている上、蛇行した道が続いてゴールが全く見えません。ふくらはぎもパンパンで、筋肉が切れそうな感覚です。頂上までの距離表示を見かける度に「まだか!」「ほんまか!」と一人突っ込み。人がいなくて良かったです。
 

頂上まであと少し

 「おこおっつぁん」という愛らしい表現にすら憎しみを感じ始めた頃、ようやく高越寺を発見。頂上はすぐ近くです。麓から約5キロ。最低限の目標「止まらない」だけは守りつつ、1時間40分かけて何とかたどり着きました。

 両脚のあちこちが筋肉痛。普段は使っていない部分に負荷が掛かり、少し強化されたのではないでしょうか。特にラスト1キロはフルマラソン並みの疲労度でした。日常の練習コースはほぼ平地なので、たまには登山もありかな、と。下り道もまた良い刺激に与えてくれます。

 せっかくの機会。下山前にやってみたかったことがあります。コーヒーを飲みながらたたずむー、テレビなどで見掛ける登頂後の至福の光景です。お湯を沸かす道具はないので水筒を持参しました。率直な感想は「スポーツドリンクにしておけば・・・」。格好ばかりを気にしてはいけません。

頂上に立つ弘法大師空海の像

 今では登山者に親しまれている高越山ですが、県内最古の霊山で山伏の修行の場として知られています。頂上でスマホをいじってのんびりしていると、真後ろに弘法大師空海の像。「だらだらするんじゃない!」。真っただ中のマラソンシーズン、修行に戻ります。(矢)