地球温暖化の危機が迫っているにもかかわらず、期待外れに終わってしまった。

 スペイン・マドリードで開かれた国連気候変動枠組み条約第25回締約国会議(COP25)である。

 会議では、来年本格始動する温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」で積み残された実施ルールを作ることになっていた。だが、会期を延長しても合意に至らず、来年の次回会合に先送りした。

 各国が足並みをそろえて取り組む姿を示すべき場が、対立を際立たせる舞台となったのは皮肉と言えよう。

 パリ協定で各国が掲げた現行の目標が達成できても、今世紀末には産業革命前に比べて気温が3度も上がるとされている。手遅れにならないうちに、各国が自国優先の態度を改め、具体的な行動に取りかかるよう求めたい。

 先送りしたのは、温室効果ガス削減量の国際取引に関するルールだ。他国への技術支援などで実現した削減分を自国の目標達成分として計上する仕組みで、削減分を互いの国で二重計上しない規定の導入を目指した。

 交渉でブラジルやインドなど一部の途上国が、支援を受けた側も自国の達成分に使えるよう主張したのに対し、先進国などが反発した。

 二重計上すれば実際の削減量が少なくなる。認められないのは当然だろう。先進国が支援をさらに強めることなどで、決着させてもらいたい。

 各国が国連に来年再提出する排出削減目標について、決議文書をどれだけ強い表現にできるかも焦点だった。

 温室ガスを2050年に実質ゼロにするとした欧州連合(EU)や、海面上昇で水没する島しょ国などは、上積みを義務付けるよう要求。一方、排出量が増えている中国やインドなどが反対した。

 その結果、文書は「可能な限り最も高い野心を持って」「現行の目標を引き上げることを求める」との文言にとどまった。

 義務付けを見送った上、会議中、目標引き上げを表明した国が約80と、協定を批准した約190カ国・地域の半数に満たなかったのは残念だ。

 とりわけ、排出量世界1位の中国をはじめ、3~5位のインド、ロシア、日本と、主要な排出国が軒並み上積みに言及しなかったのには失望させられた。2位の米国は先月、パリ協定からの離脱を通告している。

 これら5カ国で、世界全体の排出量の6割近くを占める。後ろ向きの政策を転換しなければ、温暖化に歯止めをかけられないのは明らかだ。

 日本は小泉進次郎環境相が会議で演説したが、石炭火力発電の削減に触れず、温暖化対策に消極的だとして環境NGOから不名誉な「化石賞」を受けた。

 世界の潮流は「脱石炭」に向かっている。政府は、石炭と原発を重視する現在のエネルギー基本計画を早く見直さなければならない。