搬送のため、観音坐像の剥落防止作業を行う国宝修理所の技師=徳島市多家良町の如意輪寺

 徳島市多家良町の中津峰山如意輪寺が所蔵する国重要文化財「木造如意輪観音坐像(もくぞうにょいりんかんのんざぞう)」が修理されることになり10日、公益財団法人・美術院国宝修理所(京都市)に運ばれた。本格的な修理は鎌倉時代後期(13~14世紀ごろ)の像造立以来、初めてとみられる。来年3月末までに修理を終え、寺に戻される予定。

 修理所の技師2人が9日から如意輪寺を訪れ、梱包(こんぽう)・搬出作業を行った。本堂に安置された坐像の装飾品を外したり、搬送中の剥落を防ぐために仮止め用の樹脂を塗ったりした後、木材や緩衝材で固定し、運び出した。

 主任技師の湯淺広司さん(62)は「修理の跡はほとんどなく、状態は良い。修理も進めやすそうだ」と話した。

 今回は修復ではなく、現状維持を目的とした修理。剥落や傷みが進まないような処置や汚れを落とす作業を行う。山田弘乘(こうじょう)住職(46)は「無事に戻ってきてもらい、来年春の御開帳で姿を見てもらえたら」と話している。

 観音坐像は鎌倉時代後期の作とされ、寄木造りで高さは105センチ。6本の腕を持ち、片膝を立てて座った「六臂像(ろっぴぞう)」で、漆塗りの上に鮮やかな金箔(きんぱく)や彩色が施されている。1911年に国宝(旧国宝)に指定され、戦後、文化財保護法の施行(50年)に伴って国重要文化財となった。

 今回の修理は、文化庁の文化財保存事業費(美術工芸品保存修理事業)375万円を活用して行う。