「経済再生と財政健全化の両立」をアピールするが、あまりにも危機感が乏しいと言わざるを得ない。

 政府が閣議決定した2020年度予算案は、膨張に歯止めがかからず、102兆6580億円と8年連続で過去最大となった。

 10月に消費税率を引き上げたとはいえ、3割超を借金に頼る状況が続き、国債残高は20年度末に906兆円に達する見通しだ。後世に大きなつけを回すことになる。

 歳出増で目に付くのが、社会保障関係費である。高齢化による医療費増、消費税増税の税収分を活用する教育無償化などで過去最高の35兆8608億円に膨らんだ。

 診療報酬改定に合わせた薬価の引き下げなどで、高齢化に伴う自然増を圧縮したものの、もう一段の工夫が必要ではないか。団塊の世代が全て後期高齢者となり、社会保障費が急増する「2025年問題」に備えた抑制策は見えてこない。

 看過できないのが増え続ける防衛費だ。北朝鮮の相次ぐミサイル発射や、中国の急速な軍備拡張を念頭に置いているが、米国からの高額な装備品の売り込みに応えるものでもある。5兆3133億円もの巨費を投じる必要性を国民に説明してもらいたい。

 消費税増税で、税収は19年度当初より1兆180億円多い63兆5130億円と過去最高額を見込む。その半面、消費を下支えする景気対策に1兆7788億円をかける。国・地方の財政支出が13兆2千億円に上る事業規模26兆円の経済対策を、19年度補正予算案と合わせて盛り込んでおり、まさに大盤振る舞いである。

 それでも政府が、財政健全化が図られていると主張するのは、10年連続で新規の国債発行額を減らすからだ。

 ただ、そのために「埋蔵金」と呼ばれる特別会計の剰余金などを税外収入にフル活用。外国為替資金特別会計の剰余金から2兆5908億円、18年度一般会計の剰余金から5268億円を繰り入れる。

 特に一般会計の剰余金は、財政法の規定により国債の償還に充てるべき分も特例的につぎ込む。これでは借金返済が遅れ、国債発行を減らしても財政健全化は進まない。

 国債発行に頼らず、政策経費を税収でどれだけ賄えるかを示す国の基礎的財政収支の赤字額は、20年度に9兆2047億円と3年ぶりに悪化する。消費税を増税しても財政健全化が進んでいないことを示している。このままでは、25年度に先送りした収支の黒字化は達成できまい。

 徳島県関係では、県庁に開設する消費者庁の「新未来創造戦略本部」の予算に3億9千万円を計上した。概算要求を1億9千万円下回り、事業規模が縮小したのは残念だ。

 財政を立て直すには歳出の抑制・削減が避けられないことを、今回の予算は示している。成長による税収増を頼みにした財政運営を見直さなければならない。