野球の四国アイランドリーグplus・徳島インディゴソックスの開幕戦。七回、スタンドから一斉にジェット風船が放たれた。盲導犬「ディア」は雄のラブラドール、3歳。このときばかりは顔を上げ、夜空に飛び交う青い風船を目で追った

 徳島市のマッサージ師・鶴野克子さんの相棒である。チームの帽子をかぶり、シャツを着て、夫妻と一緒に県内外、ほとんどの試合に顔を出す。鶴野さんが利用する3代目の盲導犬だ

 「先の2頭は途中で退屈するのか、帰らないの、とそわそわしていたけれど、この子は試合終了まで足元でおとなしくしていられる」。ところが褒めてもらったそばから、床にこぼれた串焼きの肉片を拾い食いし、しかられていた。まだ駆け出しである

 白石静生監督の時代からだから、インディゴを追い掛けて10年になる。「行け行け行け」。鶴野夫妻のひときわ大きな声援をファンなら一度は耳にしているはず

 「通い詰めるようになったのは偶然、選手の親と知り合いになってから」。障害者に優しくない球場が多い。でも、来れば新しい出会いがあり、興奮がある

 敗れはしたが、1点差の好ゲームだった。「今季も面白い試合をたくさん見たい。プロに行く子も」と鶴野さん。ディアはといえば、「今、仕事中」とでも言いたげに、すまして前を向いていた。