米国と旧ソ連による冷戦終結から30年がたち、中国を含めた新たな冷戦の時代に突入した。核の脅威が高まる一方、国際社会は内向きで強権的な指導者に翻弄され、混迷の度を深めている。

 香港での反政府デモは世界に衝撃を与えた。

 6月9日のデモは参加者が103万人(主催者発表)に上った。その後、デモは交通妨害やストライキ、破壊行為に発展。警官隊との衝突が頻発し、実弾による負傷者も出るなど世界有数の金融都市は未曾有の混乱に陥った。

 中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」の改正案が引き金だったが、市民や若者らは高度な自治を認めた「一国二制度」の危機と捉えたのだ。

 半年が経過した今も抗議の声を上げ続ける。これに対し、香港統治に強圧的な習近平指導部は力による対抗姿勢を変えていない。習氏は、人権軽視との欧米の批判に耳を傾けるべきだ。

 国際社会の最大のリスクとなったのが、トランプ米政権の外交政策だ。

 中国との貿易摩擦は12月、追加関税の一部引き下げなど「第1段階」では合意したものの、米国が求める中国の構造改革は先送りされ、対立の火種は残ったままである。

 北朝鮮との非核化交渉も停滞した。2月にハノイで行われた2回目の米朝首脳会談は事実上決裂。双方が強硬姿勢に転換する動きもみられ、再び緊張が高まっている。

 米国が旧ソ連と1988年に発効させた中距離核戦力(INF)廃棄条約は8月2日に失効した。冷戦終結の象徴でもある核軍縮の枠組みが消滅し、二つの核大国に中国も巻き込んだ軍拡競争に発展する恐れが出てきた。

 イランの核開発も現実味を帯びてきた。一方的に核合意から離脱した米国が経済制裁を再開したことで、イランは合意履行の一部停止を宣言した。核兵器廃絶に逆行する事態を招きかねず、トランプ氏の責任は大きい。

 欧州連合(EU)離脱問題で、長く混迷状態が続いていた英国は来年1月にも離脱が確実になった。2月以降、EUと通商交渉が開始される見通しだが、交渉によっては再び混乱する懸念もある。離脱を主導したジョンソン首相の指導力が問われよう。

 印象深かったのが、地球温暖化を巡るスウェーデンの少女の言動だ。

 9月23日に国連で開かれた「気候行動サミット」で、16歳のグレタ・トゥンベリさんが「私たちを失望させる選択をすれば、決して許さない」と演説、各国首脳らに温暖化対策の実行を訴えた。精力的な活動ぶりは世界の注目を集め、米誌タイムの「今年の人」に選出された。

 グレタさんの訴えは、世界的に広がる「自国第一」に警鐘を鳴らすものだ。各国首脳はそのことを強く胸に刻むとともに、国際協調の重要性を再認識すべきだろう。