踊り体験で表彰された台湾からの客(左)と阿波の風の朝田副連長(右)の会話を通訳する澤田さん=徳島市の阿波おどり会館

踊り体験で表彰された台湾からの客(左)と阿波の風の朝田副連長(右)の会話を通訳する澤田さん=徳島市の阿波おどり会館

 徳島市の阿波おどり会館で毎日開かれている阿波踊り公演に、中国語の通訳が取り入れられ、台湾や香港などからの観光客に好評だ。中国語圏の客は外国人客の9割近くを占めており、サービス向上につなげようと、市観光協会が2016年度に導入した。踊り体験の場などで同館専属連の連員との会話をサポートするなどして、踊りの魅力発信に一役買っている。

 通訳は、外国人向け観光ガイドの国家資格である通訳案内士の資格を持つ日本人2人と、日本国籍を持つ中国出身者1人が務める。いずれも県内在住で、協会が有償で依頼している。

 活動のメインとなるのは公演終盤の踊り体験コーナー。専属連「阿波の風」の連員らが参加を募る際、通訳は客に近寄って「踊りませんか」などと中国語で呼び掛ける。

 上手に踊れた数人を朝田初雄副連長らが表彰する際は、「どんな所を観光しましたか」「夏本番の阿波踊りも来てください」などとコミュニケーションを取っている。

 4月12日の踊り体験で賞状を受け取った台湾の陳炎華さん(70)は「踊り連の人と交流できうれしい」と喜んでいた。

 通訳は受け付け担当の職員7人に語学指導も行っており、「チケットの提示をお願いします」「ご覧いただきありがとうございます」など、よく使うフレーズを教えている。通訳の澤田恵子さん(38)=徳島市佐古一番町=は「一期一会の気持ちで笑顔を絶やさず、楽しんでもらえるよう心掛けている」と話す。

 協会によると、16年度に台湾と香港、中国から訪れた客は6389人。10年前に比べ1624人多く、外国人客の89%を占めた。川村義貴係長は「より多くの団体客を呼び込めるよう、サービスの充実に努めたい」と話している。