企業の合併や買収を「結婚するようなもの」と例えたのは、京セラ創業者の稲盛和夫さんだった。育った風土も文化も異なる企業が一緒になる。だから円満の秘訣も人と同じ。「相手のことを最大限思いやる必要があるのです」と

 令和最初の元日に、トモニホールディングス(HD)傘下の徳島銀行と大正銀行が合併した。主要エリアを徳島・京阪神とする、海をまたいだ新銀行の誕生である。新しい時代にふさわしい

 振り返ると、トモニHDは徳島銀と香川銀の頭取の雑談から始まった。およそ14年前のこと。東京で毎月ある会議で席を並べ、定宿も偶然同じという縁が経営統合へと発展。後に大正銀が傘下に加わり、グループ内の合併も実現した。歩みは着実だ

 ただ、合併後の関係というのは、なかなか難しい面がある。人気ドラマの「半沢直樹」を思い出す。合併した旧銀行同士の権謀術数が生々しく描かれていた。その筋書きは現実にもあり得る

 人口減と超低金利の長期化で多くの地銀が収益力の悪化にあえいでいる。窮状を考えれば、派閥争いにかまける余裕などないはず。企業内でどれだけ寛容になれるかが問われそうだ

 「徳島大正銀」と少々長い名前になった「とくぎん」は、どんなビジネスモデルを生み出すだろう。まずは、半沢も驚かせる「思いやり」を見てみたい。