開発した器具を使って停止車両評価の手法を確認する岩佐さん(右)ら=徳島市内

 脳卒中による手足のまひなどの後遺症がある高齢者らに車の運転再開を勧め、社会復帰を支援している徳島県作業療法士会会長の岩佐英志さん(54)=小松島市小松島町北浜=が、運転に支障がないかどうかを判断する評価基準の普及を目指して起業した。評価に使う専用器具の製品化や、判定者の養成に取り組む。

 脳の損傷で起きる手足のまひや高次脳機能障害は近年、早期治療やリハビリで回復が見込めるようになった。一方で、車の運転を再開できるかどうかの明確な基準はなく、症状が軽度でも断念する人が多かった。

 そうした状況を改善しようと、岩佐さんは四国の作業療法士に呼び掛けて2014年11月に「四国運転リハプロジェクト」を結成。専門職の経験と知識を生かし、運転を再開できるかどうか判断する評価基準「停止車両評価」を18年3月に考案した。評価は▽スムーズにハンドルやブレーキを操作できるか▽周囲の状況をきちんと把握できるか―など9項目で判定する。

 ただ、この評価基準は多くの人に知られておらず、岩佐さんは客観性を高めて普及させようと、判定に使う専用器具の開発を進めることにした。

 昨年10月に器具を開発し、販売会社「ラシエイド」(徳島市)を設立。車両感覚や視野角の評価に使う測定器や、運転のシミュレーションパーツの製品化を進めている。判定者を養成する一般社団法人「リハケアネットワーク」もつくった。

 一連の事業は、インターネットで開発資金を募り、集まった寄付金と同額を助成する県の起業家支援事業「クラウドファンディング型ふるさと納税」の対象となり、昨年末までに目標を上回る101万5千円が集まった。県からも上限の100万円が助成される。

 岩佐さんは「交通手段の限られた地方では、車を運転できるかどうかが社会復帰に影響する。増える高齢ドライバーの安全対策にも役立ててほしい」と話している。

 四国運転リハプロジェクト 脳卒中になった患者らの社会参加を支援するため、公共交通機関が充実していない徳島など四国4県の作業療法士を中心に結成。車の運転再開に向けた評価方法を研究している。自動車メーカーのホンダや兵庫、和歌山など近隣4県の作業療法士も加わり、年に数回の勉強会を重ねている。