26年前の夏、県内人権団体の研修団に加わり、韓国・ソウルで元従軍慰安婦の証言を聞いた。そのうちの一人、姜順愛さんは先に名乗り出た女性に日本人が「お金をもらってやっていたんだろう」と言うのを聞き、表に出る決心をしたという

 「日本人はお金をもらえば、自分の娘を慰安婦にさせるのか」。怒りに震えながら話す姿が今も目に焼き付いている

 その前年、日本政府は旧日本軍の関与や一定の強制性を認め、おわびと反省を表明する「河野談話」を発表していた。しかし、補償を求める当事者と、解決済みとする日本との溝は深いままだった

 四半世紀が過ぎてもなお、日韓の懸案として残る慰安婦問題。なのに日本人も韓国人も「きちんと理解していない。知っていても偏っている」。そう感じ、ドキュメンタリー映画「主戦場」を撮ったのが日系米国人のミキ・デザキ監督である

 強制はあったのか、性奴隷だったのか。証言を疑問視する保守言論人らと、慰安婦を支援してきた研究者らの話が次々と繰り出され観客を論争の渦に巻き込む

 昨年春の公開以来、各地で話題を呼び、本県でもようやく11日、徳島市のあわぎんホールで上映されることになった。偽情報が横行する昨今だけに、真偽を検証する作業は貴重だろう。テーマは重いが、見る価値は小さくないはずである。