軍事技術への応用も可能な基礎研究に助成する防衛省の公募制度について、徳島大が「2017年度は研究者の応募を認めない」との方針を決め、学内の全ての研究者に通知したことが分かった。科学者を代表する機関の日本学術会議が3月、制度に否定的な見解を示した声明を出しており、これを尊重した。

 軍事研究を巡る議論は、15年度に同省が「安全保障技術研究推進制度」を設けたのを機に活発化している。日本学術会議はこの制度について「政府による研究への介入が著しく、問題が多い」などとして、3月24日の幹事会で「軍事目的の科学研究はしない」とする過去2度(1950、67年)の声明の内容を継承した新声明を決定した。

 こうした動きを受け、徳島大は役員会などで公募制度への対応について協議。4月12日付で「17年度の公募については、応募があっても認めない」と決め、研究者に通知した。

 佐々木卓也研究担当理事によると、学内の協議では「新声明の方針を尊重するべきだ」「審査のガイドラインが設定されていない」「公募の締め切り(5月末)までに制度の善しあしを判断できない」などの意見があった。

 同大が応募を認めない方針を全研究者に示すのは初めて。日本学術会議が発してきた「軍学分離」の方針に賛同し、これまでも応募は認めていなかったが、改めて大学側の姿勢を示すことにした。

 同大の饗場(あいば)和彦教授(政治学)は、制度の対象となる研究について「民生用か軍事用か区別はつけにくいので、研究成果が軍事目的に転用される恐れがある」と指摘。大学側の姿勢に理解を示し「研究者は高い倫理観を持っていないと、知らず知らずのうちに一線を越えてしまいかねない」と警鐘を鳴らしている。