始まる前からつまずいたNHKの大河ドラマ「麒麟がくる」(19日スタート)は、戦国武将・明智光秀が主人公。「狡猾な逆臣」の通説を超えた人物像に迫るという。本県ゆかりの武将・松永久秀が、どう絡んでくるかも楽しみだ

 謎の多い生涯の一時期を、光秀は朝倉義景の本拠・一乗谷(福井市)で過ごしている。市内から車で約20分、細長い谷には当時、武家屋敷や寺院、町屋がひしめいていた。京都や、阿波の三好氏が活躍した堺に次ぐ大都市だったらしい

 信長に攻められ、三日三晩の大火災の末、家並みは灰じんに帰した。「復原」された城下町で、そんな話をしてくれた岸田清さんは特別史跡・一乗谷朝倉氏遺跡の保存協会長。通説とは異なる見方に立つ

 「信長や秀吉、家康ではない。最終的に勝ったのは義景ですよ。これだけ大きな戦国時代の遺跡を、今に伝える武将がほかにいますか」

 山城と城下町、往時の遺構がフルセットで残る朝倉遺跡の発掘が始まったのは1967年。それまでは全て田畑の下に眠っていた。どんなものだか分からない遺跡のために先祖伝来の美田を譲り渡していいのか、村を二分する大論争があったそうだ

 2023年には新幹線が福井まで延びる。「日本の宝を見に、観光客がわんさか来ますよ」。次代に何を残すか。見る目に狂いはなかった。