県外から訪れるボランティア向けに学生らが作成した「阿波弁ガイド」の一部=徳島大

県外から訪れるボランティア向けに学生らが作成した「阿波弁ガイド」の一部=徳島大

 南海トラフ巨大地震などの災害に備え、徳島大の村上敬一教授(地域言語学)と学生10人が、徳島県外から被災地支援のため訪れるボランティア向けに阿波弁ガイドを作った。被災者の方言を理解してもらうことで、支援時のコミュニケーションを円滑にするのが狙い。同大のホームページなどで公開することを検討している。

 ガイドは「支援者のための知っておきたい阿波弁」と題し、県西部版と県南部版を用意した。それぞれ約100語を▽聞き取りにくい発音▽誤解しやすい方言▽知っておくと便利な方言―に分けて紹介している。

 知っておくと便利な方言では、「あるでないで」(あるじゃないか)、「つまえる」(片づける)、「ほなけんど」(しかし)などを、あいうえお順に解説。方言の活用事例を漫画で示すなどの工夫も凝らした。

 方言ガイドは、東日本大震災や熊本地震でそれぞれ被災後に作られた。村上教授は熊本市出身で、熊本県での方言ガイド作成に加わり、「こうした支援ツールは、災害発生前に準備しておくほうがいい」と考えた。

 2016年10月から県出身の学生が中心となり、地域のお年寄りや高校生らに聞き取り調査を行い、今年4月までに完成させた。

 徳島大総合科学部3年の岡村美紀さん(20)は「県外の友達に『水がまけた』『食べ過ぎてせこい』と言っても通じない。阿波弁を知ってもらうことで、災害支援に役立てばうれしい」と話す。

 今後、県東部版や医療・福祉関係者向けのガイドなども作る。地域によって微妙に発音が異なる方言も多いため、村上教授は「自治体や社会福祉協議会、地域の老人会などと連携し、一緒にガイドを作ることができれば」と協力を呼び掛けている。

 今回作成したガイドは、希望者に印刷して無料配布する。問い合わせは同大総合科学部総務係<電088(656)7103>。