徳島県沿岸の天然カキから、国が定めた規制値を超えるまひ性貝毒が相次いで検出されている。3月23日に徳島市沿岸で確認されたのを皮切りに、県が貝毒を検出し関係漁協に対して二枚貝の出荷自主規制を指導した区域は、海部郡と鳴門市のウチノ海を除く県沿岸全域に及ぶ。発生が広範囲にわたるのは3年ぶりで、潮干狩りシーズンを迎えて県は注意を呼び掛けている。

 まひ性貝毒は、アサリやカキなどの二枚貝が、毒素を持ったプランクトンを餌として摂取し、毒素を体内に蓄積する。3月29日に県が鳴門市中部沿岸(ウチノ海を除く)で採取した天然カキからは、国の出荷自主規制値(1グラム当たり4マウスユニット=MU)を超える33MUの貝毒が検出された。

 まひ性貝毒は、食後約30分で舌や唇がしびれ、重症になると、体が思うように動かせなくなる。最悪の場合は呼吸困難で死に至る場合もある。

 県沿岸では最近、毎年のようにまひ性貝毒が検出されているが、16、17年は各1カ所で検出されただけで、出荷自主規制区域が今年のように広範囲にわたるのは15年以来。県水産研究課(鳴門市)では「例年に比べ貝毒の原因プランクトンの量が多い。要因としては水温や日照時間の影響が考えられるが、現在調べている」という。

 カキ産地の鳴門町漁協(鳴門市)は「3月末までに出荷を終えており、問題はない」としている。

 県は今後、現場海域などで1週間ごとに貝毒やプランクトンを検査し、安全性を確認するほか、潮干狩りを控えるよう県のホームページで注意喚起している。