四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の運転停止を求め、50キロ圏内に住む山口県東部の三つの島の住民3人が申し立てた仮処分の即時抗告審で、広島高裁が運転を差し止める決定を下した。

 2011年3月の福島第1原発の事故以来、国も原発事業者も安全対策を図ってきたはずだ。しかし、安全性への認識は甘く、まだまだ不十分。そんな評価を突き付けたと言える。

 争点の一つは、原発のすぐ沖合に活断層があるか否かだった。

 住民側は、国内最大規模の活断層である中央構造線断層帯に関連する活断層が、沖合約600メートルにある可能性を指摘。耐震設計の目安となる地震の揺れ(基準地震動)が、四電の想定では小さいと主張した。

 一方、四電は周辺海域で実施した海上音波探査で、活断層でないことを確認したと反論。最も近い活断層は約8キロ沖を通る中央構造線断層帯で、これを震源とする地震を想定した基準地震動や、その耐震対策に「問題はない」と説明した。

 高裁は、四電の調査は不十分で「横ずれ断層である可能性は否定できない」とし、住民の訴えを全面的に認めた。活断層が存在しない前提での原子力規制委員会の審査も「過誤ないし欠落があった」とした。

 近くの沖合に活断層がある可能性については、地震学者や国の地震調査研究推進本部も指摘していた。想定を超える揺れが発生する可能性を完全に打ち消せない以上、運転禁止としたのは当然の判断だろう。

 もう一つの争点である火山の影響に関しても、高裁は、四電の想定は過小で、規制委の判断も不合理だと断じた。「破局的噴火」に至らない程度の噴火でも、火山灰などの噴出量は四電の想定の3~5倍に上るとして、四電の低い予測を批判した。

 噴火の影響は、火砕流など直接的なものだけとは限らない。比較的小規模の噴火でも火山灰が降り積もれば非常用発電機の運転に支障が出たり、敷地内で必要な作業ができないなどの問題が生じたりする。

 高裁はこうした観点から、「破局的噴火」と呼ばれる超巨大噴火ではなく、より現実的な規模の噴火が与える火山灰の影響を厳しく想定するよう求めた。これまで見過ごされてきた課題を浮き彫りにしたと言えよう。

 伊方3号機を巡っては周辺の山口、大分、松山、広島の各地裁や支部で仮処分申請などが相次いだ。17年12月には広島高裁が巨大噴火が起きた場合に火砕流が到達する恐れがあるとして、運転差し止めの決定を出したが、翌年9月の異議審で取り消された。

 今回も四電は不服申し立てをする方針だ。どのような判断が出るにせよ、さらに徹底した安全対策が求められるのは言うまでもない。