かつて日本列島をゾウが歩いていた。ナウマンゾウである。約2万年前には姿を消している。寒冷期だった。しかし寒さが原因ではない。人間の狩猟活動が深く関わっているとされる

 同じようなことが世界各地で起きている。『サピエンス全史』(河出書房新社)によると、人類が到達して程なく、アメリカ大陸ではマンモスや、身長が6メートルにもなるオオナマケモノが絶滅した

 オーストラリアでは、体重50キロ以上の動物種24種のうち23種まで失われた。気候変動が原因との説もあるけれど、約4万5千年前、大陸にたどり着いた新参者が潔白だとは言い難い。狩猟と焼き畑農業が、生態系に影響を与えたことは疑いがない

 焼き払われた土地で栄えたのがユーカリの木である。これを好むコアラも全土に広がった。のんびり屋が王国を築いた陰には人間の活動がある

 それが近代以降、毛皮が狙われ、すみかのユーカリの森が伐採されて、今や絶滅すら心配されてい

る。「史上最も危険な種」(同書)は、気候すら変えてしまうようになった 温暖化との関連が疑われる今回の大規模な森林火災では、数万匹が焼死したとみられる。炎に追われたコアラは、ユーカリの高いところで体を丸め、ひたすら耐えているという。火災鎮圧へ日本も自衛隊を派遣し支援に乗り出した。放ってはおけない。