1人暮らしのお年寄りが自宅で急病になった際などに助けを求める手段として、徳島市が無償貸与している緊急通報装置の利用が伸び悩んでいる。2008年度に千件を超えていた貸与件数は、18年度に約650件と約4割減った。市は、1人暮らしの高齢者の増加で潜在的なニーズはあるとみて周知に努めている。
緊急通報装置は、据え置き型の端末と首につるす無線送信器のセット。どちらかに付いているボタンを押せば、利用者宅の固定電話から事前に設定した協力者の電話が呼び出され、端末に付いたマイクとスピーカーで通話できる。
端末から離れていて通話できなくても、約50メートルの範囲内にいれば無線送信器から通報できる。
装置を利用できるのは65歳以上の独居者。端末のバッテリー交換費と通話料だけを負担する。
事業は1989年にスタート。貸与数は2008年度の1074件をピークに、18年度は648件まで減った。一方、市内の65歳以上の独居者は16年度末の約1万1千人から18年度末は約1万1500人に増えている。
市高齢福祉課は「定期的に安否確認してくれる人がおらず、健康面に不安がある人は利用してほしい」と呼び掛けている。
利用するには協力者2人が必要。申請書の提出から利用開始までに2~3カ月かかる。問い合わせは市高齢福祉課<電088(621)5176>。