イラスト・伊藤司郎

 家庭で簡単にできて、さまざまな新聞活用の基本になるのが、新聞記事のスクラップだ。気になる記事や気に入った記事を切り抜いてノートや用紙に貼り付けるだけだが、選んで切って貼るという活動は慣れると案外楽しいものだ。

 余裕があれば、記事を読んだ感想を少し書いておくとよい。日記のような感覚で取り組むと長続きする。忙しいときは、毎日でなくてもよい。めぼしい記事に印を付けておいて、後でまとめて切り抜いてもいいだろう。

 徳島県教育委員会学校教育課の河野豊司指導主事は、学校現場にいた頃、進路が定まらない生徒に新聞スクラップを勧めたことがある。

 作業を続けることで自分の関心や興味の傾向が見えてきて、進路を決めた生徒もいたという。スクラップをすることで、記事を選んだ自分自身を客観的に捉えることができたのだろう。

 新聞記事を切り抜いて見出しや感想を添えた紙面の出来栄えを競う「新聞切り抜き作品コンクール」は、スクラップの発展だ。

 昨年の第7回コンクールで交通事故をテーマに取り上げ、2年連続で最優秀賞に輝いた鴨島小6年の上藤幸歩さん(12)は、主に夕食後のひとときに新聞を読む。「切り抜きをしながら、家族みんなで交通事故について考えていこうと思った」という。家族で新聞を読む姿が浮かんでくる。

 スクラップのもう一つの利点は、記事を選ぶために多くの記事に目を通すことで、自然と社会問題に関心を持つようになることだ。スクラップした記事を見ながら、家族で話をしてみてほしい。(野口幸司・徳島新聞NIEコーディネーター)