徳島地裁

 2018年8月、松茂町中喜来の国道を自転車で横断していた女子高校生=当時(15)=をはねて死亡させたとして、自動車運転処罰法違反(過失致死)罪に問われた徳島市徳島町、会社社長の男性(49)の判決公判が22日、徳島地裁であった。佐藤洋介裁判官は「過失は認められない」として、無罪(求刑罰金30万円)を言い渡した。

 判決理由で佐藤裁判官は、自転車が赤信号で進行したことに触れ「(車の運転中は)自転車が赤信号に従って横断を差し控えると期待、信頼するのが通常だ」と指摘した。

 前方不注意による注意義務違反との検察側の主張に対しては「まっすぐ前を向いた状態で自転車は視界に入らない。反射板の光を直ちに識別するのは容易ではなく、自転車の存在を予見できたか疑いが残る」と退けた。その上で「(今回の事故は)誰も悪くなかった」と述べた。

 判決によると、18年8月6日午後9時35分ごろ、国道11号を青信号で南に向かっていた乗用車と、東に横断していた女子高校生の自転車が衝突し、女子高校生が死亡した。

 徳島地検の花輪一義次席検事は「判決内容を精査し、上級庁とも協議の上、適切に対応したい」とした。

 無罪男性「真摯に受け止める」 被害者父は「言葉見つからず」

 無罪判決を受け、男性は閉廷後に徳島市の法律事務所で取材に応じた。「安堵している」と述べる一方で、「私の車で相手が亡くなったのは事実。真摯に受け止めており、道義的責任を感じる」と語った。「運転するのが怖くなった」と事故後を振り返り、「検察は控訴しないでほしい」と訴えた。

 木村清志弁護士は、事故後の実況見分で誘導尋問があったと指摘し、「警察のずさんな捜査で作った調書を前提に、強引に起訴してしまった事案だ」と批判した。

 一方、女子高校生の父親(37)は「何らかの罰を受けてほしかった。1人が死んでいるのに無罪なのか。(娘に掛ける)言葉が見つからない」と無念の表情を浮かべた。