中国湖北省武漢市で見つかった新型コロナウイルスによる肺炎の感染が、急速に拡大している。

 人から人への感染が確認された上、中国ではきょうから春節の連休に入り、30億人規模の移動が始まる。発症者がさらに増えるのは必至だ。

 今のところ感染力はさほど強くなく、過剰な心配は不要だが、空港などでの水際対策に注力するとともに、一人一人が予防を心掛けることが大切である。

 新型肺炎の感染が明らかになったのは昨年末で、発症者は中国で600人以上に達した。日本、韓国、台湾、タイ、米国などにも広がり、死者は10人を超えている。

 コロナウイルスは、人や動物に感染するウイルスの一種で、症状は比較的軽いものが多い。ただ、2003年に中国で流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)や、12年から中東地域で発症が続く中東呼吸器症候群(MERS)のように、重くなりやすいものもある。

 SARSはハクビシンから広がったとされ、8千人超が感染し、800人近くが死亡。MERSはラクダから広がり、感染者約2500人、死者は800人超に上る。

 今回の新型肺炎も、武漢市内の海鮮市場が発生源とみられることから、そこで扱われていた野生動物から感染した可能性が高い。

 懸念されるのは、今後、人から人に感染する間にウイルスが変異し、感染力や毒性がSARSやMERS並みに強まる恐れがあることだ。

 そうならない前に、感染の拡大を食い止めなければならない。各国や関係機関は緊密に情報を交換し、厳しく監視する必要がある。

 特に最初の発症者が出た中国は、02年にSARS患者が見つかった際、なかなか公表せず感染を拡大させた経緯がある。今回も武漢市が深刻さを過小評価し、対応が後手に回って事態を悪化させた。

 中国は22日にようやく会見を開き、武漢市の交通を遮断するなど対策に力を入れ始めたが遅すぎる。正確で迅速な情報公開を強く求めたい。

 春節の連休で中国からの観光客が大幅に増える日本は、空港や海港での検疫に万全を期すことが重要だ。

 サーモグラフィーで旅行者らの体温を注視し患者の発見に努めるのはもちろん、症状の有無を申告してもらうなどの措置も欠かせない。

 だが、そうした取り組みにも限界がある。日本で発症が確認された男性は中国からの帰国時、解熱剤を飲んでいたため検疫に掛からなかった。

 今回と同じ種類のウイルスは、せきやくしゃみなどと一緒に排出され、別の人の鼻や口から入り、粘膜にくっついて感染するという。

 専門家は手洗いやマスクの着用など、インフルエンザと同様の対策を徹底することが重要だと指摘している。しっかりと習慣づけ、冷静に対処していきたい。