自衛隊のずさんな公文書管理の在り方を、根本的に改めなければならない。

 防衛省が「存在しない」とした陸上自衛隊のイラク派遣部隊の日報が見つかった問題は、底なしの様相である。

 小野寺五典防衛相が4日、陸自研究本部(現教育訓練研究本部)が昨年3月に日報の存在を確認しながら、当時の稲田朋美防衛相に報告していなかったと明らかにした。

 約1年間も防衛相に報告しなかったとは、言語道断だ。文民統制(シビリアンコントロール)が機能不全に陥っている証左だと言える。

 小野寺氏は「うみを出し切る」と述べたが、隠蔽した真の理由や、誰かの指示があったのかも含めて、徹底的に究明する責任がある。

 陸自は昨年、南スーダンPKO隠蔽問題でも稲田氏への報告遅れなどが批判を浴び、防衛相が辞任したほか、事務次官、陸上幕僚長もそろって退任している。

 今回の事態にも、根深い隠蔽体質を見る。防衛省、自衛隊は規律を正し、再発防止の取り組みを徹底すべきだ。

 小野寺氏によると、イラクの日報は、南スーダンPKO日報隠蔽問題を巡る特別防衛監察の過程で、昨年3月27日に、研究本部教訓課にある外付けのハードディスク内で発見された。教訓課長は稲田氏ら政務三役や内部部局、自衛隊の運用を担う統合幕僚監部に報告しなかった。

 教訓課長は「報告の必要があるとの認識を持っていなかった」と説明したという。

 その言葉通りに受け取るわけにはいかない。

 というのは、イラクの日報には、従来の公表資料にない内容が詳述されている可能性があるからだ。

 派遣の際に、自衛隊の活動は「非戦闘地域」に限られたが、現地では緊迫した状況もあったとされる。野党議員の求めに応じて日報の存在を認めれば、国会で問題になる恐れがあると判断したとの見方も排除し切れない。

 戦闘に巻き込まれる危険はなかったのか、日報の内容を詳細に検証する必要がある。

 野党は小野寺氏の責任を厳しく追及しており、昨年の通常国会で日報が存在しないと答弁した稲田氏らの国会招致も求めていく。

 「隠蔽は安倍内閣の体質そのものだ」として安倍晋三首相の責任を問う声も上がる。

 安倍首相は、北朝鮮の核・ミサイル開発などの脅威を強調してきたが、重要事項が1年間も防衛相に報告されない現状で、有事の際に自衛隊が的確な対応が取れるのか、疑問だと言わざるを得ない。

 度重なる隠蔽により、国民の自衛隊への信頼が失われるのは残念だ。隊員の士気も損なわれるのではないか。

 防衛省は、イラク派遣に関わった海上自衛隊や航空自衛隊に日報があるか調査を続け、野党側に文書を開示する方針だ。

 今度こそ、包み隠さず提出してもらいたい。