週末になると京阪神へ向かう乗客が詰め掛ける徳島とくとくターミナルの乗車場=松茂町

1998年4月に徳島と本州を陸路で結ぶ明石海峡大橋が開通してから今年で20年。瀬戸大橋の架橋からも30年を迎える。本州と四国の直結は徳島に何をもたらしたのか。節目を機に検証する。

<高速バスで京阪神へ>

1次産品が競争力を増し、販路を広げてきた一方、明石海峡大橋の開通が徳島県にもたらす負の影響として指摘されてきたのが、京阪神など都市部への消費の流出、いわゆるストロー現象だ。

政策シンクタンク・経済産業研究所は2015年、本四架橋がもたらすストロー現象を検証する論文を発表した。それによると、四国4県の卸売り販売額は1998年の明石架橋前後を境に下降。衣料品や化粧品の出荷額の比較でも兵庫、広島両県が増える一方、徳島や香川は減少した。

婦人・子供服小売業などの分野では「(架橋による)競争拡大効果の方が市場拡大の効果を上回る」と指摘。「徳島県側の店舗で出荷額の低下が生じる可能性が高く、その影響も無視し得ない大きさだ」とまとめた。

本州への人の流れが加速する様子は、高速バスの利用状況からも見て取れる。開通直後の1999年に淡路島を経由して四国と京阪神を結ぶ高速バスは1日92往復だったが、16年には3倍超の314往復に拡大。輸送人員も2・5倍近くに膨らんだ。

松茂町の徳島とくとくターミナルでは、徳島駅よりも周辺の駐車料金が割安とあって、近隣の農業用地は次々と駐車場に姿を変え、現在の収容台数は町が把握するだけでも861台に上る。幹線道沿いにもかかわらず、駐車場ばかりが増える現状を地元は嘆く。

京阪神の商業施設側は、四国からの買い物客の呼び込みに余念が無い。関西国際空港対岸のりんくうプレミアム・アウトレット(大阪府泉佐野市)では、高速バスの徳島-関西空港線を共同運行する徳島バスなど4社と提携。9往復のうち毎日1往復にアウトレットに停車してもらい、乗客にクーポン券をプレゼントしている。

アウトレットで乗降する乗客が一定数を下回れば、経由に必要な経費をバス会社に支払う契約だが、アウトレット側によると「これまでは安定した利用が続いている」という。担当者は「橋があるとないでは全然違う。今後もバスを中心に集客プロモーションを続ける」と意気込む。

橋の利用者が増える背景には通行料金の値下げがある。明石海峡大橋の通行は、開通から10年間は年800万~900万台前後で推移していたが、14年度に全国共通料金制度導入で料金が引き下げられ、自動料金収受システム(ETC)の搭載車は、全通当時の半額前後での通行が可能となり、15年度には年1300万台に達した。

県民のレジャーの幅が広がる一方、打撃を受けたのが徳島市中心部の商業施設だ。経済産業省の商業統計によると、徳島市では小売業の事業所数が架橋前の97年に4212あったのに対し、14年には半数以下の1773にまで激減。3636億円だった小売業年間商品販売額も2323億円にしぼんだ。

徳島駅前も大きく様変わりした。かつて徳島ビブレとして親しまれた「ラスタ・トクシマ」(03年閉店)や「とくしまCITY」(13年閉店)といった大型商業施設が姿を消し、跡地はホテルや駐車場となった。東新町商店街も活性化の必要性が叫ばれて久しいが、郊外型ショッピングモールの県内進出も相次ぎ、地盤沈下に歯止めをかける妙案は見いだせていない。