陸上界で注目の厚底シューズ。市民ランナーの間でも広まっている

 ランニングを始める人がまず購入するのがシューズではないでしょうか。各スポーツメーカーがさまざまなモデルを販売し、どれを買えばいいのか迷いますよね。私の場合は機能性よりも、色や形などのデザインを重視します。基準は人それぞれです。

 とはいえ、最近話題が尽きない「厚底シューズ」に興味がないことも…。米国スポーツ用品大手ナイキが開発した厚底シューズは、軽量化やクッション性のほか、高い反発力が特徴。名だたるトップ選手が愛用し、好記録をたたき出しています。

 最近は市民ランナーの間でも広まってきました。購入した友人はうれしそうに「足が自然と前に出る」「疲労が少ない」などなど。「ほんまかいな?」と疑いつつも、そんな話を聞けば私も欲求がふつふつと湧き、こっそりスポーツ店へ。

 陳列棚を眺めていると、厚底シューズにも複数のモデルがあり、当然値段に幅もあります。どれが自分にいいのか、というか、そもそも買うのが前提になっている? 脳内会議を始めます。

 「自然と足が前に出るなんて最高やん」「今のシューズよりはクッション性があるけど、軽さはほぼ同じかな」「厚底履いてるのにレースでへばって歩いていたら笑われそうやな」

 よほど考え込んでいたのでしょう。真横で店員さんが声を掛けていたことに気付きました。「履いてみてください。このモデルがお勧めです」。そうですね、履いてみないと分かりません。

 試し履きで歩いたところ、すぐに違いが確認できました。靴底のつま先部分が反り返っているので、足を踏み込むと無意識に前傾姿勢となって進みます。シューズの軽さや厚底のクッション性も感じましたが、この靴底の形が一番特徴的でした。

 「私には無理」。直感です。自分のレースを想定した場合、元気なうちは大丈夫と思うのですが、30キロ以降にこの厚底シューズに耐えられるだけの脚力とフォームを維持できないでしょう。まあ30キロまで行ける自信も正直ありません。シューズに走らされ、期待を裏切らずに失速していると思います。

 そういうことなので、今シーズンは夏に買ったシューズで頑張ります。練習も道具も試行錯誤しながら取り組んでいくのが醍醐味。うまく自分を納得させて店を出ます。

 シューズ開発は日進月歩で、違うスポーツメーカーの商品も今後期待できます。新しい情報を求めてインターネット検索が尽きません。「そんな暇があれば、まず走れば」。リトル(矢)に突っ込まれました。記録更新や目標達成には、走り込みが一番の近道であることは変わりません。(矢)