「桜を見る会」問題やカジノを含む統合型リゾート施設(IR)事業に絡む汚職事件に関し、従来の答弁を繰り返すだけでは国民の不信を払拭できるはずはない。

 通常国会が開会し、きのうまで衆参両院で代表質問が行われた。安倍晋三首相が国民の知る権利にどう応えるのか注目されたが、自身に向けられる疑惑を晴らそうとの意思が感じられないばかりか、説明責任を軽視する姿勢が目立った。

 謙虚で丁寧な受け答えとは到底思えず、野党の追及をかわして早期に幕引きを図る狙いが透けて見える。遺憾と言わざるを得ない。

 桜を見る会を巡っては、招待者名簿の不自然な廃棄や公文書管理法に違反した取り扱いなど、新たな問題が次々と浮上しており、「1強体制のおごり」「官僚組織の忖度」とも指摘されている。

 政府は既に歴代の担当者を処分しており、けじめを付けたとの認識のようだが、沈静化には程遠い状況だ。

 招待者や推薦元についての野党の質問に、首相は個人情報を盾に答えなかった。首相の支援者が参加した夕食会に関し、疑惑解明の鍵とされる収支を記した明細書の開示についても、ホテル側の意向などを理由に拒否した。

 首相の説明は、桜を見る会の問題が浮上した昨年の臨時国会とほとんど変わっておらず、失望を覚える。

 元内閣府副大臣が逮捕されたIRに絡む汚職事件への答弁も同様で、「捜査中」を理由に核心の部分は回避した。

 事件を踏まえ、首相は整備の基本方針にIR事業者と政府関係者らとの接触ルールを盛り込むことを検討するとしたものの、推進の方針に変更はないと明言した。

 しかし、共同通信の世論調査では、IR整備について「見直すべきだ」との回答が70・6%に達している。

 もともと、カジノへの国民の目は厳しく、事業者と政治家らの癒着も懸念されていた。事件の原因や背景を究明し、再発防止を徹底しなければ、不信感を取り除くことはできない。事業廃止も含め再検討すべきだ。

 昨年辞任した2人の元閣僚らの公選法違反疑惑について、「任命責任を痛感している」と陳謝した。ただ、説明責任は政治家それぞれが果たすべきだとの考えを示すにとどまった。

 問われているのは「政治とカネ」だ。このままでは政治への信頼が損なわれよう。首相は事態を深刻に受け止める必要がある。

 首相は、年頭会見で「批判を謙虚に受け止め、今後も丁寧に対応する」と語った。その言葉とは裏腹に、施政方針演説では政権の実績や自らが進めたい政策をアピールする一方、疑惑については触れずじまいだった。

 いつまで説明責任を回避するのか。今後の国会論戦で真摯に説明を尽くさなければ、信頼回復は望めない。