クラシックコンサートに演奏家を派遣して得た所得を申告せず、法人税約3千万円を脱税したとして、東京国税局が法人税法違反容疑で、法人としての音楽プロダクション「アンサンブル・セシリア」(東京都渋谷区)と、川岸美奈子代表取締役(57)を東京地検に告発したことが31日、関係者への取材で分かった。

 関係者によると、川岸氏は2016年7月期までの3年間、徳島県が設けた「とくしま国民文化祭記念管弦楽団(とくしま記念オーケストラ)」の演奏会の出演者を手配するなどして手数料を得ていたが、所得計約1億3千万円を申告しなかった疑いが持たれている。川岸氏は会社の売り上げを記載する帳簿を作成していなかったという。

 とくしま記念オーケストラは常設の楽団ではなく、イベントごとに演奏家を集めている。演奏会のほか、県内の学校や音楽団体との交流、演奏の指導も行っている。

 オーケストラは徳島県で12年に開催された国民文化祭をきっかけに11年9月に設立された。川岸氏はオーケストラの立ち上げに関わり、11年5月~13年3月には県の非常勤特別職の政策参与も務めた。

 国民文化祭が終了した後、川岸氏はオーケストラの演奏者や音楽監督の秋山和慶東京交響楽団桂冠(けいかん)指揮者と県側との調整役として関わり、徳島での業務を増やしていたとみられる。

 複数の関係者によると16年11月ごろには、県文化振興財団や、同財団から事業委託を受けた徳島市のイベント会社にも東京国税局の職員が調査に訪れ、とくしま記念オーケストラの関係資料を持ち帰っていた。

 アンサンブル・セシリアは1990年9月設立。登記上の法人所在地や役員の住所に取材を申し込んだが、31日までに回答は得られなかった。