マスク姿の人が目立つ長沙空港=24日、中国湖南省(野口さん提供)

 新型コロナウイルスが発生した中国湖北省武漢市に隣接する湖南省の大学に留学中の野口智加さん(20)=四国大2年=が25日、徳島に帰省し、厳戒態勢が敷かれた現地の様子を語った。春節(旧正月)の祝福ムードから一転、異様な雰囲気に包まれた数日間を振り返り、事態の収束を祈った。

 野口さんは昨年8月から、武漢市の南方約300キロにある湘潭市で交換留学生として暮らす。今月は成人式に出席するため元日に帰省し、20日に中国に戻った。「その時はこれほどの騒ぎになるとは思わなかった」と言う。

 事態の重大さに気付いたのは21日。大学のグループチャットで、学生寮からの外出や外部との接触を控えるよう教員から指示された。楽しみにしていた春節を祝う催しは中止になり、3食ともレトルト食品でしのいだ。23日には武漢市を出発する交通機関が封鎖された。

 「孤立はいつまで続くの」「感染したら病院は診てくれるのだろうか」「徳島に戻れなくなるのでは」。肺炎患者数が日々急増する中、不安と恐怖に駆られながらも、部屋に閉じこもることしかできなかった。

 寮の消毒が始まった24日朝、感染拡大を心配した両親から帰るよう促され、関西空港行きの航空券を取った。最寄りの長沙空港に向かうタクシーから見えたのは、車も人影もない閑散とした幹線道路。「別の国にいるような感覚だった」

 長沙空港では全身を検査された。空港にいるほぼ全員がマスクを着け、異様な雰囲気が漂っていた。航空便は満席で、客室乗務員もマスク姿だった。

 25日時点で体調に異常はなく、チャットで友人と無事を確認し合っている。授業再開のめどは立っておらず「一日も早く沈静化し、元の中国に戻ってほしい」と願った。