幻視やパーキンソン症状が現れる「レビー小体型認知症」の夫の介護経験がある小倉和代さん(54)=鳴門市大津町木津野=が、同じ認知症患者の介護に悩む家族を支える「サポートネットワーク徳島」の設立を目指している。比較的新しい病気のため認知度が低く、四国には支援団体がない。8日に同市内で講演会を開き、自らの介護体験を語りながら、ネットワークへの参加を呼び掛ける。
小倉さんの夫(75)は2013年秋ごろから、実在しない人や物が見える幻視の症状が現れるようになり、同年11月にレビー小体型認知症と診断された。小倉さんは、夫の症状に不安を抱きながら約2年間、自宅で介護。夫には手足がこわばるパーキンソン症状も出始め、現在、徳島市内の病院に入院している。
同認知症は1996年に診断基準が確立された。小倉さんが夫を介護していた際には対処法が分からず、周囲にアドバイスしてくれる人もいなかった。「同じ認知症といってもアルツハイマー型とは別の病気だった。同じ悩みを持つ人はいるはずなのに話し合える場がなかった」と振り返る。
そこで小倉さんは、介護に悩む家族を支える支援団体の設立を思い立った。患者の家族や医師に参加してもらい、定期的に交流会を開いて、症状やケアに関する情報交換の場にしたい考えだ。
小倉さんは「夫の介護をしていて、相談相手がいなかったのが一番困った。不安を打ち明けるだけでも楽になるので気軽に参加してほしい」と話している。
≪レビー小体型認知症≫ 認知症患者の半数を占めるアルツハイマー型に次いで多く、2割以上いるとされる。根本的な治療法は見つかっていない。症状が多様で診断が難しく、うつ病などと誤診される例も少なくない。患者家族らの支援団体は18都道府県にある。神奈川県が先進地で、病気を発見した横浜市立大名誉教授の小阪憲司医師らを中心に08年から活動している。
小倉さんの講演会は8日午前11時から鳴門市のキョーエイ鳴門駅前店多目的ホールで。