東京五輪の開幕まで半年を切った。

 新国立競技場の完成や聖火リレーのルート発表に続き、日本選手団が開会式の入場行進で着用する公式服装もお披露目された。機運も徐々に高まりつつある。

 大会組織委員会や東京都は引き続き抜かりなく、開幕に向けた準備に全力を挙げてもらいたい。

 56年前の東京五輪では新幹線や高速道路を整備し、日本社会の発展と高度成長を世界に印象づけた。

 今回、パラリンピックと共に発信するのは、最高峰の選手が力をぶつけ合う競技の魅力だけでなく、開催理念にも掲げた「復興」である。

 東日本大震災では163の国・地域が支援してくれた。世界に向けて被災地の復興の歩みを伝える意義は大きい。

 とりわけ、サッカーと野球・ソフトボールの会場となる宮城、福島両県では、競技開催にとどまらず、さまざまな取り組みを通じて感謝が伝わるよう望む。

 「選手第一」が求められる運営面で、懸案のひとつは暑さ対策だろう。マラソンと競歩は東京から北海道へ会場変更したが、他競技の対策は十分図られているのか。救急体制の充実も含め、手を尽くさなければならない。

 危機管理の面では、台風・豪雨・地震などの自然災害やテロへの対処も重要である。猛威を振るう新型コロナウイルスなど感染症の動向も気掛かりだ。

 台風の影響を受けた昨秋のラグビー・ワールドカップ(W杯)で得た経験も生かし、万全を期してほしい。

 7年前の招致演説でアピールした「お・も・て・な・し」の姿勢も問われる。

 五輪・パラリンピックに参加する選手や関係者らと交流を深める「ホストタウン」には、500近い自治体が登録済みだ。

 徳島県は大会に備える事前合宿地として、五輪でドイツ、カンボジア、ネパールの3カ国、パラリンピックでジョージアの各代表チームを受け入れる。

 いずれも以前からの親交が縁となった。これを機に、一段と友好関係を育みたい。

 ラグビーW杯で、ジョージア代表の事前合宿を受け入れた実績は大きい。大会の盛り上がりもあって、良い思い出を刻んだ。

 五輪の事前合宿でも、競技体験や交流イベントなど、関係を発展させる活動が求められよう。県民も進んで参加し、相互理解を深めたい。

 観戦に訪れる大勢の外国人客が被災地に赴くのを応援するのは大事だが、本県への誘導も図る必要がある。

 欧米からの旅行者には、長期滞在して各地を巡るケースが多いという。地方の魅力を知ってもらう絶好の機会ではないか。

 行政も民間も手をこまねいていては困る。残された時間は少ないが、果敢に売り込んで需要をつかむべきである。